ハウスクリーニングが日本に浸透するのには当時としては稀なフランチャイズ展開があったようです。その始まりと言えばやはりダスキンの創業でしょう。
事業の成功を目標にしながら人生の豊かさも同時に求める「道と経済の合一」が理念のようです。
日本では掃除で稼ぐという発想はなく、アメリカからドーナッツと一緒にハウスクリーニングという商売としての掃除が輸入されました。
履き物を脱いで、足を洗ってから畳の上に上がる文化の日本に土足の文化のお掃除がフロアポリッシャーと一緒に入ってきました。
日本でお掃除を仕事にするには心理的なハードルが高かったと想像します。自分の身支度はこまめにする日本人には
「他人に掃除させていいのか」
「律儀さに欠けるのではないか」
「罰当たりではないのか」
信仰による心の成長として、自分で身支度、掃除をすることを道徳として心に植え付けられていり面が確かにあったと思います。
働く側も
「そんな汚れ仕事じゃ嫁がこない」
「掃除に対価をいただく価値があるのか」
など、お掃除をサービスとして提供するにはハードルが高かったでしょう。
学校行事で掃除教育が日課であった若輩者の私でも多少なりとも分かる感覚なので、ダスキン創業の50年以上前ならなおさらだと思います。
そこで必要だったのが、「托鉢」の功徳を積むという仏教の教えによる価値観をもって稼ぐという方法で、これが日本の文化に溶け込めるように作用したことでしょう。
ハウスクリーニングが日本に根付いた理由にこの理念が効果的に働いたのではないかと推察します。
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